2本のスティックと雑誌から ー現役京大生バンド Akane Streaking Crowd 【学生インタビュー vol.1】

更新日:1月25日

現役京大生らが運営する、語り×Café&BAR Katharsis(カタルシス)。

このシリーズでは、「やりたいことが分からない」と悩む学生へ、学生へのインタビューを通じて未知なる選択の可能性を届けていく。


記念すべき第一弾は、京大に通いながら自ら作曲してワンマンライブもこなす3ピースバンド、Akane Streaking Crowd(以下 Akane)。彼らの人生やAkaneの成り立ちを深掘り、やりたいことが分からない人へのメッセージも貰った。



2本のスティックと雑誌から


雑誌をドラムスティックで叩く。カウントが始まった。


Akaneのベースボーカル、北里は当時中学2年。兄がギターを始めたのをきっかけに、楽器を始めた。ドラムをやりたくて、スティックだけ買って家で雑誌を叩いた。うるさいと言われてしまった。


ギターは兄がやってるし6弦あるから難しそう。選ばれたのはベース。学校内のコンサートにベースボーカルとして出ると褒められ、中3の文化祭でも出演。バンドの楽しさを知り、当時キャプテンを務めていたサッカー部をやめた。北里は東京の中高一貫校にいたため、本当はそのまま部活は続いていく。大胆な決断だった。


高校でバンドを組んだ。この時ドラムを叩いていたのが、今もAkaneでドラムを叩く立本。中学ではバスケ部でベンチを暖めていたが、部活内でバンドを誘われ、北里と合流した。先輩らがオリジナルバンドをやって黄色い歓声を浴びているのを見て、オリジナル曲も演奏し始める。


東京以外にも行ってみたい。好きなバンドの多くが関西出身で、関西のバンドシーンにも関わりたい。北里は京大を目指し、入学。立本も京大へ。


一方、キーボードの庄子は仙台出身。元々ピアノを習っていたが、ギターに触れバンドの世界を知り、軽音に興味を持ち始める。しかし、自称「空気系」だった庄子はなかなかバンドを誘えず、合唱コンで弾く程度だった。


庄子は、『科捜研の女』や『ドクターX』を見て人体の研究に興味を持った。『ザッツ京大』という京大の広報サイトで、人体を学べる人間健康科学科を知り、京大を志望する。3人が京大で交わっていく。


(その記事はこちら:https://www.thats.pr.kyoto-u.ac.jp/2019/01/31/6374/


2021年に行われた「やり直し入学式」の日の京大時計台(筆者撮影)


「バンド作るの待つよりかは、できるの全部一人でやっちゃった方が速いなと思った」


北里らが入学して待っていたのは、華のキャンパスライフではなく、空のキャンパスとパソコンライフ。軽音サークルは当然活動できず、バンドを組むのは至難の業だった。


「多分根底が自信家みたいなとこがあると思うんだけど、高校の時やってみて、俺は正直曲を作る才能があると思った。それがもっと評価されたいというもどかしさがあったから、大学はオリジナルだけでやって評価されたいと思った。」

 

2020年10月、北里は「音源作りたいからドラムを叩いて欲しい」と立本に頼んで録音を開始する。Akaneが、はじまる。2本のスティックと雑誌から、導かれるように、音楽への道を歩み始める。


ライブの様子。立本の友人撮影。


音楽界をStreakingしたい。


2020年12月、初めてのアルバム『日記帳』をリリース。大学生の等身大の日常を歌った。月並みな感想だが、とても素人が作ったとは思えない。どれもキャッチーでありながら目新しく、同世代が発する歌詞には共感を覚える。しかし、北里に言わせれば、理想型ではなかった。


「とりあえずなんかしないとまずい」

 理想じゃなくてもいい。とりあえず、一歩。


そもそも、Akane Streaking Crowd という特徴的なバンド名はどこから来たのか。サッカーの試合に全裸で乱入するのをStreakingと言う。トリックスター的な存在として、音楽界をかき乱したい。Streakingしたい。


そこに、北里が好きなフジファブリックの『茜色の夕日』のAkane、音の組み合わせ的にCrowdを入れた。大群みたいでかっこ良さそうだと愛おしげに話す北里を見ていると、最初は訝しんだ長いバンド名に愛着が湧いてくる。また、どうやらAから始めることで索引で目に触れやすくするのを狙ったらしい。さすが京大生。

 

2021年8月、EP『Stories of Streakers』をリリース。『日記帳』とは打って変わって奇抜さが増し、よりクセになる音楽が揃った。ポップで耳なじみがいいけど、どこか違和感があるような狂気性。北里が目指す理想像に少し近づいた。


同月、キーボードとして庄子が加入。12月にはワンマンライブも敢行。次の夏休み前までには新しい音源を出す予定だという。構成が変わり、今まで北里のワンマンプレーだったのが他の人に任せる部分も増え、新しく、よりイカれたAkaneが聴けそうだ。


初のワンマンライブの様子。(画像提供:立本)

これからの活動は、色んな人に見られたいとしつつも、北里「俺はそんな大胆な人ではないから、就職しなくて続けますかと聞かれてはいとは言えない」と言う。庄子も、人体の研究をしに大学院に行きたいという夢がある。次の目標は、大阪アメリカ村のサーキットイベント出演だ。


「できるならどこまでも無限に広がって欲しい」と語るAkaneの目は、現実と情熱の狭間で揺れていた。彼らの選択の行方はまだ誰にも分からない。だが、2本のスティックから始まった物語、選択が、彼らの糧となることは間違いないだろう。



「とりあえず、家を出よう。」ーやりたいことがない人へ 


昔と違い、私たちには自由が与えられている分、何をすればいいか迷ってしまいがちである。特に大学生は、小中高とある程度レールの上を歩いていた分、いきなり野に放たれて道を見失うことも多い。音源収録やライブなどバンド活動に勤しむ彼らに、やりたいことがない人たちへ何かメッセージはないかと聞いてみた。


北里:「京大はさ、京大だけじゃないけど、めっちゃ勉強の人もいるし、色んなことをやってる人もいるから、選択肢の提示をしてくれている。だからそれを見ながら、色々やる。ある種、生産的な生き方をした方がいいという強迫観念が俺にもあると思うんだけど、とりあえず楽しそうだなと思ったことをやってみよう。とりあえず家を出るのが大事。コロナもあったけど、家いて一人でバンドやってると、自分の想定したことしか起きない。だから場所とか環境を変えて新しい出会いを探そう。とか言いながら俺もあんま出掛けないから俺も出掛けようと思う。」


立本:「自分も色々悩んでいる身として、そういう人って、たくさん選択肢があって、腰が重い人が多いんじゃないかなと思う。でも大学生だったら手当たり次第飛びついてみていいなと俺は思い始めている。やっぱり思い切って外に出て行動するのが大事。あとは人に悩みを話すとか。」


庄子:「大学生活って、自分の行動力次第では何とでもなる時代だと思う。やりたいと思ったことはやっていいし、やめたいと思ったらやめていい。多分だけど、自由時間って大人になればなるほど無くなっていく。大学4年間を引きこもって暮らすのはもったいない。やりたいことがないからこそ、やめてもいいんだと思って色々やればいいと思うし、キャパらない範囲で全部やればいい。結局自分次第すぎる時間だと思うから、多少巡り会いとかの運はあるけど、大事なのは自分が行くこと。度胸あるかどうか。始めますも辞めますも楽観的に見ればいい。大学ってそういう時間じゃないかな。」

 

「家を出る」

これは、物理的に家を出ることに限らず、自分の世界の外にあるものに接することのメタファーとも言えるだろう。色々外のものに接して試さないことには、熱中できるものは見つからない。


そして、何かやりたくなったら、とりあえず、ドラムスティックで雑誌を叩いてみる。理想型じゃなくても、音源を作ってみる。そうして初めて、才能があるかとか、本当にやりたいかとかが分かるのだろう。やめたかったらやめて、また「家を出る」のだ。



(文・インタビュー:川口翼)

 

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『日記帳』:https://linkcloud.mu/4c43c205

『Stories of Streakers』:https://linkcloud.mu/91d5dae0

※各種サブスクで音源が配信されています。






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